入院その1

3月の定期受診の時、レントゲン検査で左肺が気胸になっていた。


主治医は大変な騒ぎようで、何か思い当たることはなかったかと聞く。
息子が帰ってきてドタバタして忙しかったので、過労気味ではあったけど、苦しいのはいつも通りだったし、特に思い当たらない。
とにかく安静にして3日後にもう一度来るように言われる。
そこで改善していなければ「入院」。


診察室を出ると、秘書のお姉さんが車いすを用意して待っていた。
処方箋と計算書ができる間、ベッドに横になっていては、と言われる。
そんなに大事(おおごと)なのかと驚いた。
でも、自分で車を運転して来たし、とりあえず普通に歩けるし…


いつものように職場から来て合流した夫は、入院という言葉に打ちのめされて、すっかり茫然自失していた。
仕方なく車いすに座って待っている間、夫は下を向いてポロポロ涙をこぼす。
「もう、しっかりしなさい!!」と思わず叱った。なぜ、あなたが泣くのよ。
私の頭の中は、入院することになったらどうするか、を必死で考えていた。

会計を済ませ、車を自分で運転して帰った。


その後の2日間はほとんど何もせず、テレビの前の座椅子に座って洗濯物をたたんだりした。




3日後再受診。
左肺の気胸に変化はなかったが、右肺も気胸になった。

入院決定。
入院に当たって、急変時対応に関して2つ決めてほしいことがある、と医師が言う。
一つは、人工呼吸器をつけるか否か。
医師の説明の間、夫は無言で涙を流していた。
「もう一つは何ですか?」と私のほうから聞いたら、
医師は夫を心配して「ご主人大丈夫ですか?もっとキツイ話です。」

もう一つは、心肺蘇生をするか否か。

私自身はどちらも望まないと言ったものの、夫は答を出せず。


こうして、私の「日常生活」は終わった
医師の予測より2か月くらい早かった。