キーワード:「勉強しなおしてまいります」

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名人と言われた桂文楽が、
高座で止まってしまったことがあったんだそうです。
ひとつの噺を磨き上げていくというタイプの落語家で、
完全主義者というふうにもいわれていた文楽さんは、
その場で深々と頭を下げ、
「勉強しなおしてまいります」と言ったそうです。
名人といわれるような立場の人ですが、やはり、
「勉強しなおしてまいります」なんですよね。
落語というしゃれの世界のトップに立つような人が、
ずいぶんと「まじめ」なことを言う、と、
ちょっとおもしろいエピソードみたいに
語られる伝説なのですが、
ぼくはけっこう好きなんです。
何歳になっても、
「まだいくらでも勉強しなおせる」という、
希望に満ちた話のように思えるんですね。
・昨日、吉本隆明さんの84歳の誕生日でした。
そこであれこれ話したことが、やっぱり、
いくらでも勉強しなおすつもりのある
「青年」のようだと思ったのです。
「人間というのは、考えることをやめないものだ」と、
吉本さんを見ていると、つくづく思います。
人が、「そういうものだ」と見過ごしているところを、
いや待てよ、と考えるんですよね。
いちばん根源的には、どういうことなんだろう、と、
正体が見えるまで考えるわけです。
いやぁ、怖いし、かっこいいです。
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