読書メモ:「八日目の蝉」

「八日目の蝉」角田光代
何年ぶりだろうか号泣した。
「薫」の「希和子」の人の孤独が身に迫って胸が痛くなった。
「恵理菜」が岸田さんを好きになった理由が切ない。
しかし、吉本ばななが書いていたように(「ムーンライトシャドウ」)「恋なんてそんなもんだ」。そしてどうしようもない孤独を噛みしめる。
それで考えたのだが、このどうしようもない切なさ=抱きしめてあげたいという気持ちは、たぶん人間というサルが生き延びる上で大切な反応だったのだと思う。森に暮らすサルにとって「蛇と蜘蛛を嫌うこと」「キーキーという音を嫌うこと(不安=危険を感じること)」が必要であったように。
できるなら、その切ない感情に従い、一時抱きしめて「よしよし」してあげればいいのだが、人間社会では、その衝動に負けて抱きしめたことによって違う関係性(恋愛)を構成しお互いを独占してしまう。
とすると、婚姻制度というのは「薄情」になることを薦めるものなのか?(笑)
千草の独白と蝉の喩えは上手くない。